
ご訪問ありがとうございます、イタリア旅ライターのEtsukoです。
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ワイナリー「エンリコ・クローラ( Enrico Crola)」を訪れたのは、ブドウの収穫直前の2016年9月中旬。
まだ夏の暑さを十分感じる
北イタリア ピエモンテ州のメッツォメリーコ(Mezzomerico)にあるブドウ畑。
私は、Enrico氏の造るNebbioloのスプマンテ Hallè Rosèに魅せられ、
ワイナリーへとやって来たのでした。
オーナーのEnrico氏が来日の際、
Nebbioloのスプマンテ(発泡性ワイン) Hallè Rosèを試飲させていただいたのです。
そのスプマンテは、
シャンパーニュと同様の 『メトド・クラシコ』(瓶内2次発酵)で造られ
色は、 ピンクというより、むしろオレンジに近い色合い。
グラスの中に注がれた、
軽やかなオレンジと、細かな泡立ちの見ながら一口いだたくと。。。
「え?」
見た目の軽やかな印象とは全く異なるその味わいに、驚きを隠せず、
私は瞬く間に魅せられたのでした。
Nebbioloをメトド・クラシコで造っているワイナリーはEnrico氏だけ。
「ブドウ畑を見てみたい。
このスプマンテが造られているワイナリーに行ってみたい!」
そう思わずにはいられませんでした。
【ワイナリーEnrico Crola】
ワイナリーEnrico Crola(Azienda vitivinicola Enrico Crola)は、
ピエモンテ州ノヴァーラ県にあり、
ミラノ マルペンサ空港からも近く、車で20分程の位置にあります。
実はEnrico氏が初代オーナーで、彼が一代で築いたワイナリー。
家族で彼より前に、ワイン造りの仕事に携わった人はいなかったといいます。
ワイナリーを立ち上げる以前、IT関連技術者として働きながらも、
ワイン畑とワイン造りへの情熱を絶やすことなく燃やし続けていたEnrico氏。
週末のわずかな時間を使いながら準備し、 自身の夢を、夢で終わらせることなく、
粘り強くワイナリーを現実のものとしたのです。
2006年の設立から、ブドウ栽培、ワインの醸造、生産、
そして2010年の最初の販売に至るまで、まさにゼロからの起動。
Enrico氏は今も、ワイナリーオーナーとIT技術者という
全く異なる2つの職種を毎日忙しく、精力的にこなされています。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
【Nebbiolo ネッビオーロのブドウ畑にて】
イタリアは20州全土でワイン造りが行われている、世界でも稀有な土地。
土着品種と言われる、その土地でしか栽培されていないブドウ品種も
非常に多い国として有名です。
Enrico氏が畑で育てているブドウは、
イタリアで『最も高貴な黒ブドウ』の一つと言われている Nebbiolo品種。
高地にあって冷涼で霧に覆われる土地に育つこのブドウは、
ピエモンテという土地に限られており、
Enrico氏自身も言うように”vocazione territoriale” (直訳すると、領土の召命)
神様から召された土地というのがイメージしやすいですね。
この土地、土壌、粘土の全てが最適でNebbioloを選んだと。
若き醸造家のDavideさんと共に、
毎日ブドウを大切に愛情込めて育ててられているのです。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
彼等のブドウ畑に降り立った時の感激といったら、
言葉にならず!
私は感嘆の声を上げるのみでした。
目の前には、どこまでも広がる緑一面の優しい風景と、
たわわに実ったブドウ達。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
収穫を待つ、ブドウがあちこちから見えてきます。
もうすぐワインに変わるどれも大切な一粒です。あのスプマンテに!
熟した実を一つ食べてみたくなり、
“Posso assaggiare?” 味見してもいい?
快く承諾してくださり、”Certo!” もちろん!
口にすると…「甘い!」
なんて甘いんでしょう!その優しく自然な甘さに驚きました。
渋みがあるのかと思っていたら、全く違うのです。
そのまま食用でいただいてもいいくらいの甘さ!
ワインでNebbioloを飲んだことはあっても、
果実としてのNebbioloは、今まで食べたことはありません。
この甘い果実が、あのオレンジ色の細やかに輝く泡になるなんて!
貴重な機会に嬉しさがこみ上げた瞬間でした。
【名前の由来】
Nebbiolo(ネッビオーロ)の名前の由来ですが、
イタリア語で『霧』のことをNebbia(ネッビア)と言います。
Nebbia(霧)が出始める頃に、
収穫を迎えるということからNebbiolo(ネッビオーロ)と
名付けられたという説が有名なようです。

il Nebbiolo
【ショールーム、醸造エリア見学】
のどかな緑一面のブドウ畑で、すっかり満喫させていただき
興奮さめやらぬ私でしたが、続いてへと醸造エリアへ案内して下さいました。
初めに、建物上部にある建築中のショールームを見学させていただきました。
このショールームエリアに立つと、
見渡す限り、緑豊かな自然と心休まる大地。
このロケーションはもう癒されないわけがない!
自然美を見られるようにショールームはガラスを多めにし、居心地良く
環境にも配慮した構造で思案されたそうです。
完成後は、主にワインテイスティングの場として活用ですが、
それ以外でも、イベントのための場になさるとお考えでした。
Enrico氏は今後、ワインに関連した体験型の観光もアイデアにあるとのこと。
若いワイナリーでもあるので、新しいスタイルを提供し
ピエモンテ州で革新的なワイナリーとなっていきたいと熱く語られていました。
多くのイベントが開催されていく今後が楽しみで、目が離せませんね!
続いて、ショールームの下部分へ。
重要なワイン製造のエリアです。
醸造エリアのエントランスにあるのは…。
社名の上に、薔薇が記されているのが、おわかりいただけますでしょうか?
Enrico氏のブドウ畑には、オレンジの薔薇が植えられているのです。
それは奥様へ捧げられた薔薇。
共に人生を歩まれている奥様への深い愛情が伺えます。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
今度はワイン製造のための機械の数々が、目に飛び込んできました。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
醸造家のDavideさんがいらして、ブドウの収穫から、ワインが出荷されるまでを
順を追って、丁寧に説明して下さいました。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
まず、手摘みで収穫したブドウを移動させ、
この場所でワインになるまでの一連の作業が行われます。
先程の甘く成熟した最高のNebbioloが、ここで生まれ変わるのです。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
皮から分離したブドウ果汁を、適切に管理された温度でステンレスタンクにて発酵。
こちらは、気樽にて発酵中のワイン。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
スプマンテの製法は2種類あり、
シャルマ方式(シャンパン以外の大部分のスプマンテ)による製造と、
フランスのシャンパンと同様の、メトド・クラシコがあります。
(瓶内で二次発酵させ、細やかな泡を造りだす)
下の写真は、
Davideさんが瓶内二次発酵の様子を再現してくださったもの。
差し込む角度を変えて、瓶にて発酵させていくとおっしゃっていました。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
Enrico氏のワイナリーでは、スプマンテの他、スティルワインも造られています。
出荷を待つワイン。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
giulia(ジュリア)と名付けられたワインについてエピソードを伺いました。
このワインの名は、
Enrico氏夫妻にとって初めてのお子さんのお名前。
2009年に生まれ、残念なことに亡くなられたのだそう。
2009年はEnrico氏のワイナリーにとって初めてのブドウ収穫の年でもありました。
その初めて収穫したブドウで造られたワインを、娘へ捧げたかったのだと話して下さいました。
大切な我が子への想いとともに生まれたワイン。それが『giulia』なのです。

Azienda vitivinicola Enrico Crola
ワイナリー見学を終えたところで
Enrico氏より、「試飲しますか?」とお声かけいただきました。
あの Hallè Rosèが再び!!
グラスに注がれる優しく細やかな泡。。。
心躍る瞬間です!

Spumante Rosè Metodo Classico,
Azienda vitivinicola Enrico Crola
個人的な印象ですが、
この色から、軽やかで明るく活動的な女性のイメージが湧いたのです。
でも、一口いただくと、その印象はガラリと変わります。
しっかりと、奥に響いてくるというのでしょうか。
軽やかというより、むしろずっしりと、
様々な経験を積んだ大人の男性のような重厚感を感じます。
女性と男性の側面、それぞれを持ち合わせたスパークリング Hallè Rosè。
甘い果実のNebbioloは変化して、酸味が強すぎず。
口の中でスパークし、 赤身のお肉にもよく合いそうです!

Spumante Rosè Metodo Classico,
Azienda vitivinicola Enrico Crola
スプマンテと一緒に
脂ののったサラミといただき、ますますテンションが高まります。
至福のひととき!!
Enrico氏は、仕事のため次の予定へと移動。
「短い時間しかいられなくてごめんね!ゆっくりしていってね。」
2つの職種を日々こなされているEnrico氏の忙しさ。
並大抵ではないのは想像できます。
どちらの仕事に対しても真摯に丁寧に向かわれている姿には、
勤勉と言われている日本人の私からみても、尊敬いたします。
しばしDavideさんと歓談タイム。
緑に囲まれ、ゆっくりと穏やかに時間が流れ、
スプマンテを味わい、美味しく愉しく、必然的に話が弾みます。
醸造の説明の時もそうでしたが、
Davideさんは終始笑顔で、親しみやすく気さくなお人柄が伺えました。

Salume e prosciutto
Enrico氏のワイナリーにいるこの数時間で、私の中で変化がありました。
都会生活では、無意識にも体やメンタルが緊張し硬くなっています。
それが、
いつのまにかリラックスしてほぐれている自分に私は気づきました。
「僕はここで働けて幸せだ。緑とブドウに囲まれて、
いつも穏やかで。好きなワイン造りができて本当に幸せだ。」
Davideさんの心からの笑顔と言葉が、とても印象的でした。
オーナーEnrico氏と、醸造家 Davideさん、
情熱溢れる二人が造り出すワインと、ワイナリー。
「やっぱり来てよかった。。。!」
ワインが美味しいのはもちろんですが、
その味覚以外の心の部分までもたっぷり満たされて、
私はワイナリーを後にしました。
「また訪ねたい。」そんな思いを持ちながら…!
ワイナリー、ワインの詳細は、下記のHPよりご覧ください。
*下記住所と電話番号は、ワイナリーになります。
Azienda Vitivinicola ENRICO CROLA
【Enrico氏のワイン 日本国内の窓口 】
GIFT corporationが、Enrico氏のワインの取り扱いをされています。
お問い合わせは、http://giftcorpo.com/ へお願いいたします。

Spumante Rosè Metodo Classico,
Azienda vitivinicola Enrico Crola
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